で、日本はペットボトルをどうしたいのだろう?

久々のブログ更新。最近、以下2つのニュースが交互に目に入ってきて混乱している。

 

“海を殺す”マイクロプラスチック汚染、日本周辺は「ホットスポット」にも

https://www.huffingtonpost.jp/abematimes/micro-plastic_a_23462289/

 

ペットボトルコーヒー大ヒットの理由、サントリーが圧倒的優位

https://diamond.jp/articles/-/173745

 

「G7でプラスチックごみによる海洋汚染について協議され、合意文書が取りまとめられたが、日本は国内法の未整備などを理由にこれに署名をしなかった」と取り上げる一方で、「従来の缶コーヒーは中年男性が顧客の中心だが、スタイリッシュな印象のペットボトルによって、若年・女性層ニーズをつかんだことも、ブームになった要因だ」と分析する。ちなみにコーヒーの消費量は清涼飲料水の中で炭酸飲料、ミネラルウォーターに次ぐ3位であり、それらがどんどんペットボトルに置き換えられるとなると無視できる量ではない。

http://j-sda.or.jp/statistically-information/stati04.php

 

で、消費者はどっちに関心があるのだろう?海にプラスチックを流して汚染したくない?それともコーヒーをスタイリッシュにペットボトルで飲みたい?

 

 化学会社で働く身としては、消費者にとって便利なモノは作られるべきと思う一方で、ペットボトルをはじめとする化学製品の"ポイ捨て"が止まない/止むのに時間がかかるのであれば、積極的に代替策を提案すべきと考える。

 しかし、PET(ポリエチレンテレフタレート)の特長である「透明」「加工が容易」「リーズナブル」の代替樹脂は今のところ存在しない。だから今まで使われ続けてきている。

 

 となると次の手は「使いつつ廃棄物として問題にならないような手を打つ」フェーズを真剣に考える必要がある。例えば衣服に用いられるポリエステルは日本環境設計株式会社が色んなステークホルダーを巻き込みながら大規模にリサイクル事業を運営しており、ペット(ポリエチレンテレフタレート)においても、その分解プロセスにおいては一部明るい兆しも見えている。

 

ペットボトルを分解できる酵素が実験施設で偶然に生み出されたことが判明

https://gigazine.net/news/20180417-enzyme-eat-plastic-accidentally-created/

 

この酵素はまだまだ開発の余地があるだろう。私が仮に新規事業企画で陣頭指揮をとれるなら、この酵素開発を本気で行いたい。

 

■一度メリットを出してからデメリットを解決する

 いつの時代にも新しい製品やサービスにはメリットとデメリットが存在する。

 

 自動車が発明され、人の移動が劇的に便利になったと同時に発生した排気ガスや交通事故の問題に対して、自動車メーカーが燃料電池車や排気フィルター、あるいは自動運転に必死に取り組んでいるように、

 化学メーカーの屋台骨の一つであるプラスチックの廃棄問題に対し、必死に取り組む化学メーカーが一つでも多く存在してほしいと思うし、自分がその当事者になりたいと思う。

 サステナビリティやSDGsという後追いもある。持続可能を求めるマクロトレンドと、分解酵素という技術の進歩が合致しつつある今が絶好のチャンスのはず。後はマネタイズ方法を考えないと(次回までの宿題)。