2019-05.素材とブランド(多分part1) ~素材は"主役"ではなく"ツール"なのか~

暑い。連日暑い中、毎年恒例の化学業界売上 global top50がChemical&Engineering Newsから報告された。

https://cen.acs.org/business/finance/CENs-Global-Top-50-chemical/97/i30

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出典:https://cen.acs.org/content/dam/cen/97/30/WEB/globaltop50-2018.pdf

(上記は上位30位までの抜粋)

 

 なお、上記の売上高や利益の集計は会社全体の売り上げではなく化学部門のみ。よって化学会社の一部門となる場合もある製薬部門は含まれていない。

 

●日本企業の営業利益率の低さ

 最初に目につく売上ランキングに関しては、Dow/Dupontの強強合併で新会社誕生により、これまで盤石首位だったBASFに替わってトップになった以外は大きな変動はない。

 一方で、chemical operating profit margin(化学部門の営業利益率)における、日本企業のそれの低さが気になった。

 

 top30までの半分以上の会社の営業利益率は10%を超えている中(これもすごいと思うけど)、10%を下回っているのは奇しくも日本、中国、韓国、タイ等のアジア企業。

 これらの企業がアジア地域に固まったのが偶然なのか、何か本質的な理由があるかを考えるのも興味深いが、ここでは一旦スルーするとして汗、日本企業の営業利益率の低さは、ここ数年変わらず低空飛行のまま。

 おそらく各社経営層はこのことを課題に感じ、ロジカルな攻め手を考えているだろう。そこで、ここではもう少しぶっ飛んだ対策を考えてみようと思った。

 

●ぶっ飛んだ利益率を出している他業界は?

 利益は(売上)-(コスト)。これまでの企業努力を考えると現状のビジネスを保ったままコストを下げることには一定の限界があろう。そこで売上を上げることを考えてみる。とはいえ、素材業界の範疇で考え続けていてもぶっ飛んだ手は出てこない。

 そこで、他の業界でびっくりするような利益率や価格設定をしている業界がないか考えてみた。

 

 

高い利益率、高い利益率・・

 

 

 

 

ぶっ飛んだ価格設定・・・

 

 

 

 

 

うーん、ダメだ、こういうのしか思いつかない

 

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photo from Unsplash

 

ブランド品。

 

 

 私のような小市民には、たまたま通りががったブランドのうっすいコートがなぜ20万円もし(しかもこの暑い夏に既に店頭に並んでいる)、さらにその下に一見何の変哲もない(ようにしか見えない)革靴が10万円するのか、さっぱりわからない。

 

それでも百貨店やショッピングモールには今でも新店舗がオープンしている。

 

 webで「ファッション・営業利益率」で調べてみると、シャネルは営業利益率28%、LVMHは19%、Kering(Guccin等)も19%と出てくるわ出てくるわ・・・・これ以外もいわゆるラグジュアリー系のブランドの営業利益率は軒並み高く、あまりに羨ましくて私はそっとリンク先を閉じた。

(参考:https://note.mu/fukaji/n/n9b48919a6e98

 

どうしてだろう?

こういうアパレルのブランドと我々素材業界の何が違うんだろうか?

 

 

BtoCとBtoB、最終製品と素材、ブランド認知度の有無・・

 

個別に考えていきたいが、色々複合的な要素が多そう。一方で、 昨年ある出会いから、「ファッションブランド」と「素材」の融合はすでに起こりつつあることは認識していた。

 

パリコレで喝采浴びた新素材 研究者のアピールが奏功

https://style.nikkei.com/article/DGXMZO37381260V01C18A1000000/

 

 昨年この記事を見た時、「素材の可能性をうまく引き出したなあ」という感想だった。

 今、改めて振り返ってみると、この感想はあくまで素材産業を「主」と考え、デザイナーさんを「従」もしくは「手段」(失礼)と捉えていたきらいがある。

 

 ただ、顧客は「素材」を買いたいのではない。

 

●素材は"主役"ではなく"ツール"で考える

 つまり、顧客である最終消費者がお金を払ってでも手に入れたいのは、

素材メーカーが作りだした"材料"ではなく、

ファッションブランドが提供する”衣服”であり、"世界"であり、"ストーリー"なのだと。

 

 素材産業にいると、目の前のすんごい材料やテクノロジーを主役として考えてしまい、最終顧客へ提供する前に中継する役割として各種メーカーを考えていたのかもしれない(少なくとも私は)。

 

 素材産業の営業利益率を上げようとすると、他社に真似できない要素が必要になるため、材料で差別化!テクノロジーで差別化!と考えてしまいがち。その結果、素材だけで「世界」や「ストーリー」を作ろうとしてしまいそう(少なくとも私は)。

 

 しかし今では、この考えに少し無理があるように思えてきた。素材の「世界」、素材の「ストーリー」って何?具体的に何を構築すればいいのだろう。そして最終顧客はそれに共感し、お金を払うのだろうか。 

 

 顧客にとっては最終製品であるブランドが構築する世界やストーリーが魅力的であり、素材はそれを構成するのに欠かせない要素になればいいのではないか、つまり素材が主ではなくツールとして考える方が自然ではないか、と考えるに至った。

 

●で、日本の素材企業が利益率を上げるには?

 最初のお題:「日本」の素材企業の営業利益率を高めるには?まで考えなくてはいけない。具体的な策を考えようとしているタイミングで、いつもお世話になっているTメンターから以下のリンクを送っていただいた。

 

●外国人が欲しがる「日本の高級ブランド」5特徴

https://toyokeizai.net/articles/-/294830

 

最初は送られた意味が飲みこめず、スルーしてしまった(Tさんスイマセン)。この記事を深掘りしながら、もう少し考えてみたいと思う。今日はここまで・・

(暑くて集中力が持たない←言い訳)