2020-02. プラネタリーバウンダリー×化学を考える(part2:項目相関図(個人的まとめ))

 前回のブログでついに「人類が地球に対してお金を払おうとしている時代」が来た!と書いた。


世の中にはいろんなタイプの人がいますが「今ある美しい地球を守りたい」という気持ちに対して全力で反対!という人はほぼいないのではないでしょうか。

 

その地球を守るための指標となる項目が「プラネタリーバウンダリー」。

ja.wikipedia.org

プラネタリーバウンダリーは、2009年ストックホルム・レジリエンス・センター所長のヨハン・ロックストローム氏を中心にしたグループが提唱した、以下の9つの項目から構成されている。

 

・気候変動

・生物圏の保全

・新人工物質

・成層圏オゾンの破壊

・海洋酸性化

・リンおよび窒素サイクル

・土地利用の変化

・淡水利用

・大気エアロゾルの負荷

 

以前紹介した「小さな地球の大きな世界」(丸善出版)では、この9つの項目についてある程度の定量的データを元に、2014年時にどういう状態であるかが記載されています。

www.maruzen-publishing.co.jp

 

 それぞれの項目について「まだ許容範囲内である」「危険な状態だが挽回可能」「もう取り返しがつかない状態」という点も記載されています。ただし、これらの解釈は人によって異なりそうなので、自分の頭で考えようと思っています。

  

 その前に、そもそもこの9つがどういう分類でどういう因果関係になっているかを整理してみました。

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(注:あくまで個人的なまとめ)
●まとめて見た感想

 地球にとって影響が大きいであろう、人口増加と経済発展を出発点に考えてみました。こうしてざっと眺めると、人口増から食糧増に伴う「農業・畜産・漁業」といった食糧を生産する産業を起点とする影響が多いなと感じました。

 9個のプラネタリーバウンダリーのうち、既に「リン・窒素サイクル」と「生物圏の保全(特に生物多様性)」は、2014年時点で既に限界点を超えていると上記の本で指摘されています。そして次に危ないのは「土地利用の変化」です。

 「リン・窒素サイクル」に関しては食糧増のニーズに応えるため、農地でリンや窒素を肥料として使っていることも影響していると想定していますし、農地拡大による土地利用の変化、並びに人口増加や都市化と相まって生物多様性の減少に影響する可能性があるなど、影響力が大きいのでは、というのが今回のまとめの気付きでした。

 いわゆる代替肉や、Agritechと呼ばれる農業を効率化するテクノロジーも含め、近年のフードテックはここへアプローチしていると考えると、応援したくなる動きです。

 

 次以降からは個別の項目についてもう少し整理しつつ、どこが本当に解決すべき点なのかについて、自分の考えを述べたいと思います。