2021-01. プラネタリーバウンダリー×化学を考える part4:生物圏の保全(生物多様性)-現状把握編

 とっても久しぶりのブログ更新。気づいたら2020年が納まり、2021年が明けていた。

 2021年も世間のニュースがコロナウイルス一色の中、その次に大事になるであろうキーワードについてゆるりと考えたことを書き残していこうと思う。

 

●これまでのおさらい

 このブログで2020年1月から1年以上「プラネタリーバウンダリー」という概念について考えてきた。プラネタリーバウンダリーとは、簡単に言うと「地球の限界」。

プラネタリー・バウンダリー - Wikipedia

 

 プラネタリーバウンダリーという概念が良いなと思ったのは、「地球が危ない」というふわっとした抽象的なメッセージをきちんと多面的に評価している点。

beyondthechemistry.hatenablog.com

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 およそ50年前には「今日は光化学スモッグがひどい」と言われ、その次に「オゾン層が破壊される」というメッセージが聞こえ、昨今では「地球温暖化が進んでいる」「二酸化炭素濃度が増え続けている」といった警鐘が鳴らされている。光化学スモッグは今やインドなど今後栄える国へ移動している。じゃあ、結局グローバルで考えるとどれが一番危ないの?という素朴な問いに答える情報はなかなか得られなかった。

 

 それがこのプラネタリーバウンダリーでは、提唱者の判断基準はさておき、一定の閾値で現在地を決めている。

 そしてその中で今特に危ないと言われているのは、光化学スモッグでもオゾン層破壊でも、温暖化でも二酸化炭素濃度の増加でもなく、「生物多様性」(記載上は生態圏の一体性)と「窒素・リンの富栄養化」である。

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出典:書籍「小さな地球の大きな世界」

 

じゃあ、この特に危ない項目からしっかり考えないといこうということで、このブログでは生物多様性について現状把握してみる。

 

●そもそも生物多様性とは

 生物多様性という言葉は、たまに耳にすることもあるかもしれないが、その言葉が使われたのは意外と最近。1985年のアメリカ合衆国研究協議会(National Research 1985 Council) の生物学的多様性フォーラム計画中の発言だった(出典:wikipedia)。まだわずか36歳。私より若い。

 

生物多様性 - Wikipedia

 

 その生物多様性には3つの種類があり「遺伝子の多様性」「種の多様性」「生態系の多様性」から構成されている。世間で話題となっているのは「生態系の多様性」であり、その生態系の多様性が急激に失われつつあるというのが著者の主張である。

 

●生物多様性が減少すると何がよくないのか?

 では生物多様性の一つである生態系の多様性が失われると人類にどういうしっぺ返しが来るのだろうか?(最初は私もピンとこなかった)

 

【生物多様性の恩恵】

1.大気と水(基盤サービス):

 酸素の供給、気温、湿度の調節、水や栄養塩の循環、豊かな土壌

2.暮らしの基礎(供給サービス):

 食べ物、木材、医薬品、品種改良、バイオミミクリー(生物模倣)

3.自然に守られる私たちの暮らし(調整サービス)

 地域性豊かな文化、自然と共生してきた知恵と伝統

4. 文化の多様性(文化サービス)

 マングローブやサンゴ礁による津波の軽減、山地災害、土壌流出の軽減

 

生物多様性のめぐみ | 生物多様性 -Biodiversity-

 

 なるほど・・・生物多様性の恩恵として具体的には1のような基盤サービスをイメージしやすいかもしれないが、人間が地球と共存していくうえでは3や4はかけがえのない恵みのように感じた。

 そして生態系が少しずつ変化していくと、自分の世代と子供の世代で囲まれている自然環境が変わる可能性があり、当然のように感じていた四季に対する感覚も世代で異なってくるかもしれない。

 そしてこれらの生態系の多様性の減少は、仮に種が絶滅してしまうと取り返しができない、という意味で、もっともっと危機意識を持つ必要があると感じた。

 

 さて、このようにじわりじわりと人間の生活にも影響を及ぼしかねない生物多様性の減少、どうやって食い止めようか。。。それはまた次回のブログで。

(といっていつになることやら・・・)